一年前、物乞いをするこどもが私を助けてくれた話

 ある日、マニラの、とある電車の駅からジープニーを利用して目的地まで行こうとしていた時の話。ちょうど一年くらい前の話です。自分の携帯電話のメモ帳にある自分の記録を見つけて、今更だけどブログに載せてみようと思いました。

 


駅前はごちゃごちゃとしている。小さな屋台や道にシートを広げそこに商品を並べて売っているようなお店が沢山ある。さらに、歩行者が非常に多く、ジープ二ーが絶え間なく通っている。イメージ、竹下通りの真ん中にマイクロバスが絶え間なく通ってるみたいな感じ。その日は、初めて行く場所にジープニーで行こうとしたけど、来るジープニーはどれも満員。ジープニーっていうのは、フィリピンのバスみたいなもの。運賃はとても安く最低で10ペソ(20円)からである。フィリピン中どこでもと言ったら言い過ぎかもしれないけど、私の知る限りどこでも走っている。ジープニー毎に行き先は決まっているが、基本どこからでも乗れ、どこでも降りれる。決まった停留所はない事が多い。

ジープニー

ジープニー

私がジープニーに乗りたかったその時、丁度帰宅のラッシュアワーであり、全く乗ることが出来ず、周りにいたトライシクルのドライバーにトライシクルで行けないか尋ねた。トライシクルとは、モーターバイクの横に人を乗せられる車が付いたタクシーのようなものである。こちらもとても安く、10ペソくらいから乗ることが出来る。

トライシクル

トライシクル(これしか写真がありませんでした。分かりにくくてごめんなさい)

近くにいた数人のドライバーに尋ねたものの、どのドライバーも連れて行けないと言う。トライシクルは、走れる範囲が決まっているからだ。トライシクルドライバーと話している間、私にずっと着いてきて物乞いしてきた男の子がいた。推定6,7歳。フィリピンでは物乞いの子供が話しかけてくることはよくある。お金やお菓子をあげることもあるが、その時は自分が困っていたこともあり、私はずっと無視してた。しかし、ずっと着いてきている間に私の状況を理解したのだろう、途中からその子が私のことを助けようとしてくれ始めた。私とドライバーの話を聞いていて私がどこに行きたいか分かったらしい。突然その子がこう言った。Follow me!僕がJeepney乗れるところまで連れてってあげるよ!って。戸惑う私。どうしよう。周りにいたトライシクルのドライバーの人たちには、その子供を信じるな。と言われた。確かに彼は恐らく貧困層の子、一方、私は外国人。着いて行ったら危険な目に合う可能性も充分にある。 

しかし、その時の私には、彼が悪い子には見えなかった。直感的にそう感じた。その子しか助けてくれる人もいなくて、私はその子を信じることにした。男の子は私を連れて歩き始めた。歩いている間、どんなジープ二ーに乗ればいいか、どこで降りればいいかを彼は教えてくれた。あと、鞄をしっかり前に抱えて歩けってこともジェスチャーで教えてくれた。危ないからね。別の物乞いの子供が私に寄ってくると、その男の子がフィリピン語で何かを言って追い払ってくれた。数分人混みの中を歩いて、辿り着いた場所は沢山のジープニーが行き来する道だった。しかし、何台か待ってたけれど、どれもやっぱりどれも満員だった。その男の子が通るジープニーのドライバー一人一人に、乗りたい人が一人いるんだけなんだけど乗れない?と聞いてくれた。しばらく待っていたら席が空いているジープニーが来たことを、彼が嬉しそうに教えてくれた。やっぱり彼は悪い子じゃなかった。ジープニーに乗る別れ際にお礼を言って、お金を渡した。私が乗ったジープニーを追いかけてきて、何回もバイバイ!って手を振ってくれた。

 


もしかしたら、私はすごくラッキーだっただけで、かなり危ないことをしてしまっていたのかもしれない、と思います。でも、この出来事は、なんとも言えない嬉しい気持ちのような温かい気持ちのようなものが湧いてくる体験でした。私は初め、彼を物乞いをする子供としてしか見ていませんでした。しかし、私は彼を信じたことによって、彼は物乞いをする子である前に優しい男の子であるということに気づきました。

 

追記:そうはいってもやはり、彼は貧困層の子であると思います。私と接していた数分間は、彼はとても優しく、笑顔の男の子だったけど、きっと私を見送ったあとや、その翌日、そして今も彼は物乞いをしているのではないかと思います。

この出来事によって、私の考え方や経験は少し変わったかもしれませんが、この出来事によって彼の未来が変わった可能性は低いでしょう。

 

この出来事を、ただほっこりした、嬉しかったみたいな話で終わらせてはいけなかったなと思います。もう顔も覚えていない彼に再び会って、彼の人生を変えることは極めて難しいけれど、わたしはこういった子供たちの今と未来を良くする、明るくするような活動をしたいと思っています。まだhowの部分を見つけていません。今、探しているところです。