麹から醸す手前醤油

麹から醸す手前醤油


こんにちは。夏が近づいてきましたね。

蚊に悩まされる日々がすでに始まっています。。

 

今年の4月に、初めて醤油を作るという経験をしました。

手前醤油って面白い!発酵って凄い!と感動と学びの経験でした。

 

手前醤油という概念が無かった

そもそも、「醤油を家庭で作る」という概念に出会ったのはつい最近のことでした。

私の家庭では、醤油は買うのが当たり前で、周りに醤油を作っている人も居ませんでした。

また、本物の醤油がどんなものかなんて考えたことが無かったですし、スーパーに売られている安い醤油が実は本来とは違う方法で作られているなんて知りませんでした。

 

スーパーで売られている醤油の裏側を見てみましょう。

脱脂加工大豆、アミノ酸等、カラメル色素などの文字がある醤油が多くありませんか?

本来の醤油の原料は、大豆と小麦と塩だけです。

 

早く、安く、大量に作ることが求められる現代社会では、安価な脱脂加工大豆を使い、本来のやり方でじっくり発酵させている時間を省くために発酵の家庭で生まれる旨味をアミノ酸で補い、醤油の濃い色もカラメル色素で付けています。

 

ブラウンズフィールドでは、無肥料栽培家の岡本よりたかさんを講師としてお呼びし、「麹から醸す醤油作り合宿」を開催しています。

 

2月に行ったその合宿にて、私は醤油は家庭で作れるんだということを知りました。新しい素敵な世界の扉がまたひとつ開かれたような感覚でした。

 

手前醤油は、手前味噌より手間も時間もかかりますが、そのぶん面白さもあります。

 

そして、最高に美味しいという大きな魅力があります。

 

2月に行った「麹から醸す醤油作り合宿」では、私は合宿自体のコーディネートをしたり、料理をお出ししたりしていたため、醤油作りのすべての工程には参加できませんでした。が、合宿での学びを忘れないうちにと、4月にブラウンズフィールドの卒業生たちや現スタッフたちで「麹から醸す醤油作り合宿」を開催しました。

 

手前醤油の作り方ざっくり

材料は、

  • 大豆
  • 小麦 or 米 (穀物なら何でも)
  • 種麹(麹屋さんにて購入)

 

今回は、ブラウンズフィールド産の自然栽培の大豆(小糸在来)、米(つるかめ農園さんの自然栽培のカミアカリ)、天日湖塩を使いました。

①まずは、浸水した大豆を茹でてざる揚げします。

 

②小麦を煎り、水分を飛ばします。そして、バイタミックスやコーヒーミルなどで粉砕します。(半分が粉、半分が粒になる程度)小麦でなく米を使うと、小麦フリーの醤油ができます。蕎麦やヒエなどでも良いです。

 

③麹室を準備します。(湿度、温度が保てる環境。今回は、小さいビニールハウスにヒーターと加湿器を設置)中の温度は32度、湿度60%。

 

④小麦と種麹を混ぜ、それを大豆と混ぜます。これが結構ポイントでした。大豆の温度を45度まで下げてから、大豆と小麦、種麹を混ぜます。この時に品温が32度を下回らないように手早く行います。が、この後麹室に入れるときに、36度より高い温度だと納豆菌が繁殖しやすいので36度よりも低い温度であるようにします。

 

⑤麹蓋という木のバットに晒を敷いたものに醤油麹を分けて入れ、麹室に設置します。最初は、保温と保湿のために縦に積み上げます。以後、3時間ごとに品温、温度、室温のチェック。これを約68時間行います。

 
 
 
 
 
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⑥途中で、麹蓋の積み方を変えて空気を入れたり、手入れ(固まった大豆をほくして、品温を下げる)を行ったりします。68時間の中で品温はかなり変化。43度を超えたら納豆菌が発生してしまうので注意します。

 
 
 
 
 
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⑦途中で、麹蓋の積み方を変えて空気を入れたり、手入れ(固まった大豆をほくして、品温を下げる)を行ったりします。68時間の中で品温はかなり変化。43度を超えたら納豆菌が発生してしまうので注意します。

品温チェック途中経過。途中で43を超えてしまい、納豆臭が発生。他に移らないよう、納豆臭い所だけ集めて別の麹蓋にいれ、別のビニールハウスに移した。結局納豆臭い麹も最後までいい感じに醸せたので、現在も育てています。

⑧最後は乾燥するよう、麹室の湿度を下げていきます。麹が乾燥し、品温が30度を下回ったら出麹(麹室から出す)し、温度がさらに下がるのを待ってから、塩切り(麹をほぐして、塩と混ぜる)を行います。そして、瓶や樽に入れて、水を加えます。

 
 
 
 
 
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そして最初の一か月は頻繁に、その後は月に2回、新月と満月の日に天地返し(混ぜ混ぜ)を行います。

絞るのは1~3年後になります。

 

今回の醤油作り合宿では、

  • え~なんだか温度めちゃ上がってる
  • 納豆の臭いしてるやばいやばい

なんてこともありましたが、無事醤油麹が完成しました。

みんなありがとう。

 

醤油麹のお世話と経過

現在私は、4種類のお醤油をお世話していますが、味も見た目も違って4兄弟が醸されていく様子を見ているのが楽しいです。

  1. 2022年3月仕込み 麦醤油 →1年以上経つと旨味がすごい!絞る前の醪の状態でめちゃくちゃ美味しいので、天地返しの度に、混ぜたヘラについた醪を食べています。
  2. 2023年2月仕込み 麦醤油 →最初は大豆入り塩水みたいな味だったけど、3か月たって旨味が出てきた!
  3. 2023年2月仕込み 麦醤油(塩と水ではなく、濃度を高めた海水で仕込んだver.)→2と同じ時に仕込んだものだけど、きっと違うの醤油になる。楽しみです。
  4. 2023年4月仕込み 米醤油(自分で仕込んだやつ)→この人も少しずつ旨味が出てきました。
 
 
 
 
 
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醤油絞りについて

醤油絞りは、醤油麹にお湯を足し、濃度を調節してから行います。

絞るときに使うのが、布でできた絞り袋と絞り槽です。

絞り袋に醤油麹を入れ、絞り槽に入れ、圧をかけて絞っていきます。

 
 
 
 
 
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一般的には2升ぶんくらいが入る絞り袋と大きな絞り槽を使います。

私は、数年後に使う用に1升用の小さな絞り袋を作りました。

絞り袋

絞り袋

かわいいですよね。

外側に縫い目、折り目があるのは、袋の中で醪が引っかからないようにするためだそうです。また、真ん中の一本の布は「力布」といい、絞るときに引っ張られる力に対してこの布が踏ん張るんだそうです。

 

贅沢。豊かさ。

昔は、ブランド品や高価なものが贅沢だと思っていたけれど、今の私にとっては「自分たちの手で生み出す力」と「自分たちの手で生み出すもの」が一番の贅沢です。

 

ブラウンズフィールドに来てから、調味料を自分の手で作ったり、畑で植物を育てたりと、それまでは買うのが当たり前だったものを自分の手で作ったりする楽しさ、豊さを知りました。

 

昨日は、シンガポールから来たスタッフがラクサ(カレーラーメン)を作ってくれるというので、スタッフ皆で小麦を練って中華麺を作りました。最高でした。中華麺を打つというのも、ブラウンズフィールドに来てから学んだことのひとつです。

 

高価なものよりも、自分の手で作ったものに囲まれた人生の方がずっと豊かで幸せだなあと思います。

自分で作る力は、生きる力です。

 

 

お醤油作りに興味のある方は、来年2月にもきっと開催する醤油合宿に是非ご参加ください。

 

     

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