日本で最も消費量が多い果物が何だか知っていますか。
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バナナです。
ちなみに次に多いのはりんご、そしてみかんです。
では、それぞれの果物の産地を思い浮かべてみます。
りんごは?
青森県や長野県ですかね。
みかんは?
和歌山県や愛媛県ですかね。
では、バナナは?
フィリピン...? エクアドル...?
日本の地名が思い浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。
日本で消費されているほとんどのバナナ(99.9%以上)が輸入されています。現在年間約100万トンのバナナが輸入されており、輸入果物の約6割を占めています。そして輸入バナナのうち約8割がフィリピン産なのだそうです。(※1)
道理で、日本人にとってバナナといえばフィリピン、フィリピンといえばバナナなのですね。
フィリピン産バナナの8割以上はミンダナオ島で栽培されています。
ほえ~そうなんだ、ミンダナオ島にはバナナ畑が広がっているんだろうなぁ、と広大なバナナプランテーションの映像が頭に浮かびます。
しかし、バナナ作りはただの甘くて美味しい世界ではない、ということを私は知ってしまいました。。
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農薬の空中散布
ミンダナオ島のバナナプランテーション周辺では、多くの人々が皮膚病に苦しんでいるということを知っているでしょうか。
ミンダナオ島の環境NGO「IDIS」によると、ミンダナオ島のバナナプランテーションでは、バナナの病気を防ぐための農薬を空中散布しています。
トラックや人力で農薬を散布するのとは違い、小型飛行機による空中散布は風向きによってプランテーションとは関係の無いところ、人々が生活しているところにまで農薬を散布させてしまいます。
農薬の空中散布は、「毒の雨」と呼ばれ、皮膚疾患だけでなく、胃腸疾患、呼吸器系の病気を引き起こし、地域の人々を苦しめています。
飲み水や、自給自足していた農作物も汚染されています。
農薬の被害に苦しむ人々の様子はYouTubeでも公開されています。(※3)
個人や団体で空中散布に反対する動きが広がり、空中散布をやめた企業もありますが、いまだ、やめない企業もそうです。
また、地域住民が健康被害と農薬散布との因果関係を証明する手段を持たないことから、被害補償が行われていないというケースもあるそうです。(※4)
バナナ生産者の貧困
多国籍企業とバナナ生産者の契約が不平等であることも問題のひとつです。
バナナの買取価格は、企業側が一方的に決めており、生産者は交渉する余地がありません。契約期間も15~30年と長期に渡ります。1日中働いても稼げるのは現地の最低賃金以下だそうです。
農薬や買取価格などの契約内容は契約書に書かれているそうですが、バナナ生産者の多くは初等教育しか受けていないため、英語の契約書を読むことができず、企業に促されるままに契約書にサインしてしまうそうです。
最近の動向
このようにバナナ生産者を苦しめてきた企業の一つが、「甘熟王」で有名な住友商事のスミフルです。
2019年6月18日、住友商事はフィリピンでバナナを生産するスミフル・シンガポールの保有株式を全て合併会社であるソーントン・ベンチャーに売却することを発表し、その後フィリピンでのバナナ生産から撤退しました。(※5)
また、翌日6月19日にアジア太平洋資料センターと名古屋NGOセンターとの主催で、フィリピン・ミンダナオ島の日系バナナ農園で働くバナナ労働者の報告会「今、バナナ生産現場で起こっていること」を開催されています。
そこでは、スミフルのフィリピンの農場の労働組合の代表と組合員の2人が過酷な労働環境、不平等な契約などへの改善を求めています。(※6)
残念ながら、2019年夏以降の動向についてはインターネット上で情報が見つからなかりません。コロナウイルスの影響もあるのかもしれません。ミンダナオ島のバナナ農家は今、どうなっているのでしょうか。
良いバナナを買いたい
こんなバナナの裏の世界は殆どの人が知らないと思います。例えバナナのことが、毎日食べるほど好きでもなかなかここまでは考えが及びません。
また、この話を知ったところで自分は何をすればいいのか、どのバナナを選べば良いのか、という疑問が残ると思います。
私も、この記事を書くにあたり正しい情報の選択に気を付けましたが、実際、どの情報が事実かを消費者が見極めるのはとても難しいです。
バナナを食べたい。できれば生産者の応援になるものを選びたい、そんな思いがあってもどれが良いバナナかはわかりにくい。。ということで、調べてみました。
パルシステムのバナナ
フィリピン産のフェアトレードバナナ。栽培中の除草剤などの化学合成農薬、収穫後の防カビ剤・防腐剤不使用。(参考:エコ・バナナ(バランゴン) | 生協の宅配パルシステム)
スイートバレーリーバナナ
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参考文献・ウェブサイトなど
※1 バナナの貿易学 |バナナ大学 - バナナの情報総合サイト -
※2 photoAC
※3 バナナが食卓に届くまでに何が……?農薬の空中散布と不平等な契約に苦しむ人々を見過ごせない|KOKOCARA(ココカラ)−生協パルシステムの情報メディア
※4 http://www.parc-jp.org/kenkyuu/2019/banana_poison_rain2020.pdf
※5 住商 フィリピンのバナナ生産から撤退 株式売却へ :日本経済新聞
※6 Nangoc:フィリピン・ミンダナオ島 バナナ労働者の声を聞く | アーユス仏教国際協力ネットワーク