フードパントリーとは?フードバンクとの違いって?NPOボランティアスタッフがわかりやすく解説!

フードパントリーとは?フードバンクとの違いって?NPOボランティアスタッフが解説

こんにちは、そりはるです。

 

私は、東京都大田区に拠点を置くNPO一期JAMフードパントリーのボランティアをやっています。

今日は、

  • 「フードパントリー」とは?
  • 日本が抱える貧困問題
  • 食品ロス(フードロス)問題

などについて解説していきます。

 

--目次--

 

フードパントリーとは?

フードパントリーとは、食材を無料配布する活動。子育て世帯、母子家庭、1人暮らしの高齢者、経済的困窮者などを主な対象としています。

フードパントリーの様子

フードパントリーの様子

 

食材は社会福祉協議会、地方自治体、企業から寄付されます。

賞味期限が近いものや、パッケージに印刷ミスがあるものなど、生産者や販売者の立場からは廃棄するしかないものを寄付としていただく多いです。

一般家庭から寄付をいただく場合もあります。

寄付された食材

寄付された食材

 

フードパントリーは、経済的困難を抱える人たちを支援するとともに、食品ロスの削減にも貢献しているといえます。

 

フードバンク、フードドライブとの違いは?

フードバンクとは、緊急食料支援システムの一つ。個人や企業から寄付された食料をフードパントリーや福祉団体などに提供する仲介組織です。(※1)

 

食品企業からは、製造工程で発生する規格外品、賞味期限の近い食品などを引き取ります。

 

フードドライブとは、家庭などで食べきれないで余っている食品(food)を持ち寄り、施設・フー ドバンクなどに提供・寄付する活動(drive)のことです。(※2)

よく、学校や地域施設のイベントなどで行われています。

 

つまり、フードドライブで集まった食材が、フードバンクに寄付され、そこからフードパントリーに寄付され、必要な人の手に渡るという流れになっています。(食材がフードパントリーに来るまでのルートはこの限りではありません。)

 

 

 

貧困問題から見るフードパントリー

日本では、相対的貧困が問題となっていることを知っていますか?

 

相対的貧困とは、日本の生活水準と比較すると貧しい状態のことです。日本における相対的貧困層は、所得の中央値の半分以下と定義されています。(※3)

 

ちなみに、絶対的貧困とは、国際的な基準(一日1.9ドル)以下で生活している状態のことです。

 

2016年に発表された世界の貧困率における日本の位置は、14番目の15.7%となっています。これは先進国の中で中国やアメリカに次いで3番目の高さとなっています。(※4)

 

日本では、特に高齢者、ひとり親世帯が相対的貧困の状態にあるケースが多いです。

 

高齢者の貧困率は、19.6%。生活保護受給世帯の約半分は高齢者です。

ひとり親世帯の貧困率は54.6%。このうち約90%は母子家庭です。(※3)

 

フードパントリーが食材を配布するだけの活動では、貧困問題を解決することは難しいです。食材の無料配布は対処療法でしかなく、持続性がないからです。

 

私が活動しているNPO一期JAMのフードパントリーでは、お客様に食材をお渡しする際に一緒に、区や他団体からの支援(奨学金、相談窓口など)の資料などもお渡ししています。

資料

資料

 

食材と一緒に情報も提供することで、所謂「持続可能な」、対処療法以上の意味を持つイベントを作るように努めています。

 

また、フードパントリーの認知度が上がることで、国内の貧困問題に関心を持つ人が増えることも期待できます。多くの人が問題意識を持つことによって、貧困問題を、解決する仕組みづくりも、より活発になるのではないかと思います。

 

食品ロス問題から見るフードパントリー

食品ロス問題の現状について知っていますか?

 

世界の年間食糧生産量の約1/3(13億トン)が、まだ食べることができるのにもかかわらず、廃棄されています。(※5)

 

日本では、年間8000万トン以上の食品が流通していますが、600万トンがまだ食べられるのに廃棄されています。この廃棄の量は、3000万人が1年間生きるのに必要な食品の量に相当します。

一人当たりの年間食品廃棄量は世界で第6位です。(※6、7)

 

まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品には、企業から出たもの、家庭から出たものがあります。

企業の食品ロスの原因には、パッケージの不具合、野菜の規格外・大量生産、賞味期限接近、3分の1ルールなどがあります。

 

農林水産省のHPでは、3分の1ルールについて以下のように説明されています。

サプライチェーンにおいては、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」があります。このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性があります。(農林水産省HPより引用)

 

日本のルールは他国に比べて厳しく、廃棄量が多くなる原因となっています。

そのため、このルールを緩和している企業もあるそうです。

 

大量生産、大量消費の社会で効率的な流通を実現するために野菜の規格や賞味期限などのルールが作られました。全ての食べ物が同じサイズ・形の方が流通がスムーズです。賞味期限もルールを決めてしまった方が管理が楽です。

そのルールに合致しないものは破棄されてしまいます。しかし、その中にはまだ食べられるものも沢山あるのです。

 

企業によっては、まだ食べられるのにも関わらず廃棄になってしまう食材をフードバンクなどに寄付しています。

 

私たちの団体の元に来る時点では賞味期限が残り1年以上あるものから1週間しかないものもあります。

また、過去にはパッケージの印字がほんの一部かすれてしまっているだけのものもありました。

 

フードパントリーでも配布しきれずに期限が過ぎてしまったものは、団体メンバーで消費するようにしています。

 

フードパントリーを利用する/応援するには?

フードパントリーの拠点は国内の様々なの所にあります。

 

利用してみたい、または寄付やボランティアをして応援したいという方は、是非「市区町村名 フードパントリー」でお近くのフードパントリーを検索してみてください。

 

利用方法、開催頻度、寄付方法などは団体によって違いがあるので、要チェックです!

ホームページがあまり更新されていない団体の場合は、団体のSNSもチェックしてみましょう。

 

フードパントリーの食材は基本的に無料で頂いているものですが、寄付金は、食材の輸送費やスタッフの交通費、配布用ビニール袋の購入費などに当てられます。

 

私が活動しているNPO一期JAM (in 大田区) のウェブサイトはこちらです。↓↓↓

www.ichigojam.org

 

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参考:

※1 NeighbourFood - フードバンクとは?

※2 https://chiba.seikatsuclub.coop/excludes/chiba/img/member/archives/crz/crz2009-422.pdf

※3 日本で貧富の格差が広がった3つの理由【わかりやすく解説】 - YouTube

※4 貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは gooddoマガジン

※5 食品ロスの現状を知る:農林水産省

※6 食品ロス量(平成30年度推計値)の公表:農林水産省

※7 食品ロスとは?その実態や原因を日本一わかりやすく解説 - YouTube